2023/03/12 19:17
日本人にとって「おにぎり」は大切な食文化ですよね。おにぎりが登場する昔話といったら、皆さんは何を思い浮かべますか?
今回は、食育にもおすすめのおにぎりが登場する昔話をご紹介します。
おむすびころりん
タイトルにも「おむすび」と入っているお話ですね。
物語の中で、おじいさんが仕事へ出かけるので、おばあさんがお弁当をこしらえて持たせてくれるのです。
お弁当に入っていたお豆をうっかり穴に落としてしまったら、そこがねずみの世界に繋がっていて、嬉しそうな声が聞こえてくるので、自分のお弁当を全部、おむすびも入れてあげるんですね。そしたら、ねずみがお礼におもてなししてくれました。
その話を聞いた欲深いおじいさんが無理矢理ねずみにおむすびを押し付けて酷い目に遭うお話です。
人が嫌がることをしたらいけないよ、ということを学ぶ日本の昔話です。
ちなみに、「おにぎり」か「おむすび」の呼び方論争については、「おにぎり」が一般的です。日本中で「おにぎり」が優勢ですが、中国地方ではどちらの呼び方も50%ずつと唯一拮抗している地域のようです。
さるかに合戦
ある日おにぎりを持っていたカニを見て、猿が持っていた柿の種と交換してもらいます。猿はすぐさまおにぎりを食べてしまいますが、カニは柿の種を植えて一所懸命育てます。
柿がたくさん実を付けるようになると、猿がやってきて熟したおいしい柿を食べてしまいます。カニは木に登れないので、1つ取って欲しいとお願いすると、猿は青くて硬い柿を取ってカニにおもいっきり投げつけ、カニは甲羅が割れて死んでしまいます。
そのとき、蟹からたくさんの子供たちが出てくるのですが、この子供たちが数年後に栗やハチ、牛のふんや臼を味方にして、猿を懲らしめるお話です。
目には目を、といったなかなかハードなストーリー展開ですが、カニが努力して作った柿の実を猿が奪ってしまうところは、必死に収穫した米を取り上げられていた昔の農民たちの姿が反映されていると言われています。
おわりに
昔話には時代背景や教訓が込められているほか、日本の食文化も垣間見ることができます。私たちが子供の頃に親から読み聞かせてもらった日本の昔話をこれからも大切にしていけたらなと思います。そして、2つの因果応報なお話からも、地球にやさしく接することができているだろうかと改めて考えさせられます。
参考文献
おにぎりの文化史 おにぎりはじめて物語 2019.4.20 河出書房新社