自然栽培米・有機栽培米専門店 Natural Farming

2023/04/11 20:34

肥料とは?

まず、日本では「肥料取締法」という昭和25年に制定された法律が存在します。現在は、肥料取締法の一部を改正して「肥料の品質の確保などに関する法律」として、2020年(令和2年)12月1日に施行されました。
一般消費者の方々からすると、そもそも肥料に関する法律があることに驚くのではないでしょうか?

「肥料の品質の確保などに関する法律」において、「肥料」とは、下記のように定義されます。

この法律において「肥料」とは、植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土壌に化学的変化をもたらすことを目的として土地に施される物及び植物の栄養に供することを目的として植物に施される物をいう。
(肥料の品質の確保等に関する法律(昭和二十五年法律第百二十七号)第二条より抜粋)

もう少し噛み砕いて言うと、下記のようになります。
・植物を構成する成分を含む。
・植物を構成する成分が栄養となり、植物を生長させるもの。
・植物の栽培のために、土壌に化学的変化をもたらすもの。
・人が植物に施すもの。

世界情勢と肥料

ニュースなどで、農業にかかる資材費の高騰について目にする機会もあるかと思います。世界の情勢が不安定な今、肥料についても課題があります。
世界の肥料消費量が年々増加する中で、人口も国土も小さな日本では、そもそも消費量の大きい諸外国の影響を受けてしまうため、海外からの肥料調達が不安定な側面があります。さらに、近年の世界情勢により、ますます肥料調達が難しくなっています。

日本は、主な化学肥料の原料である尿素、りん安(りん酸アンモニウム)、塩化加⾥(塩化カリウム)は、ほぼ全量を輸⼊しているため、喫緊の課題といえるでしょう。

このように、海外に肥料の原料を依存している現状を将来的に解決していくために、国内の未利用資源に目を向けるようになってきたのです。

米作りに使われる化学肥料とは

有機肥料のお話の前に、まずは一般的な慣行栽培において、水稲で使用される化学肥料についてご紹介します。
鉱物などの無機物を原料として、化学的方法により製造された肥料を化学肥料といいます。

まず、肥料を与えるタイミングの違いから、大きく2つに分類されて呼ばれます。
(1)基肥(もとごえ):稲を植え付ける前の田んぼに、あらかじめ与えておく肥料。
(2)追肥(ついひ):稲の生育期間中に、後から追加で与える肥料。

次に、一般的に稲作で使用される肥料の成分として、下記4つがあげられます。
また、これらの肥料には、速効性(すぐ作用する)のものと緩効性(効き目がゆっくり)があり、基肥では緩効性のもの、追肥では速効性のものが基本的に使用されます。

1.窒素質肥料
速効性:塩化アンモニウム、尿素
緩効性:石灰窒素、硝酸化抑制剤入り肥料、被覆窒素
稲の生育に必要な窒素を多く含みます。窒素は、稲が葉を出し、からだを作っていくために使われます。

2.リン酸質肥料
速効性:過リン酸石灰
緩効性:熔成リン肥
稲の株が分かれて増える(分げつ)や、根の発達、開花促進といった役割を持つリンを多く含みます。

3.加里質肥料
速効性:塩化加里
緩効性:ケイ酸加里
加里(=カリウム)を多く含みます。加里は、稲のからだを強くするほか、浸透圧調整や蒸散調節などの役割も持ちます。

4.ケイ酸質肥料
速効性:シリカゲル肥料
緩効性:鉱さいケイ酸質肥料(ケイカル)
ケイ酸を多く含みます。稲の光合成をさかんにするので、からだを強くし、倒伏を防ぐほか、病害虫への抵抗力も高まります。
稲にとってケイ酸は、窒素・リン酸・カリと並ぶ大変重要な成分です。

有機栽培で使われる有機質肥料とは

有機質肥料とは、魚粉類、動物かす粉末類、骨粉質類、植物油かす類等の動植物質の肥料のことです。
化学肥料との違いは、植物性または動物性の有機物を原料としているところです。

化学肥料を使用しない場合、肥料成分を有機質肥料で代替する方法があります。有機質肥料として、肥料メーカーが製造販売しているものを用いるのです。有機JAS規格を満たした、「有機JAS適合肥料」が販売されています。

また、堆肥もよく使われています。堆肥とは、稲わらや落ち葉、家畜ふん尿、食品残渣などの有機物を、微生物の力を使って分解させ、腐熟させたものです。
植物性堆肥と動物性堆肥があり、有機物が豊富なため土壌改良効果も期待できます。成分量によって、肥料効果を期待して使用されるもの、土壌改良効果を期待して使用されるものがあります。

このように、家畜堆肥や植物残渣を土壌に投入する方法のほか、稲刈り後の田んぼにマメ科の植物を植えて漉き込むことで窒素補給するなど、様々な方法があります。マメ科植物は、窒素固定といって空気中の窒素を植物が使用できる形にします。ケイ酸についても、稲わらをすき込む方法で補給可能です。

Natural Farmingの場合

Natural Farmingのつくり手の皆さんは、稲わらを田んぼにすき込むことで養分を補う生産方法を実践しており、このような植物の有機性廃棄物は土づくりの効果も期待できます。
この方法は、慣行農法の稲作でも行われますが、Natural Farmingでは、化学肥料や農薬を使用していない稲わらが毎年すき込まれることが最も大きな違いです。

また、少々厄介なことに、有機JAS認証取得のお米の場合でも、このような土づくりに使用する稲わらや籾殻などについて、農薬や化学肥料不使用でなければならないというルールはありません。
実際、近隣の慣行農家からもらってきて田畑にすき込んでいる事例もありました。
このような有機農産物の消費者には見えないルールに、私たちは疑問を持っています。

その他、Natural Farmingのつくり手の方には、「大豆くず」を投入されている方もいます。もちろん、農薬や化学肥料、家畜由来堆肥を使用せずに栽培された大豆のくず(大きさや形が不揃いで出荷できないもの)です。

まとめ

日本お米ばなし vol.12 栽培編「有機栽培米に使われる有機肥料ってどんなものがあるの?」
こたえ:魚粉類、動物かす粉末類、骨粉質類、植物油かす類等の動植物質を原料にして製造されて有機質肥料がある。
また、堆肥や稲わらなどを使用する方法もある。

おわりに
普段食べているお米に興味が湧いてきたでしょうか?化学肥料や家畜飼料がほぼ輸入ということは、国産農産物の未来を考えていく必要がありそうだなと思っていただけたら嬉しいです。
私たちの想いもよろしければご覧ください。

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