2023/04/14 18:00
「一粒万倍」という四字熟語は、一粒の種子をまけば、実って万倍もの収穫を得ることができる意から、わずかなものから多くの利益があがるたとえとして使われます。また、わずかなものでも粗末にしてはいけないという戒めであり、「稲」の異名でもあります。
では、1粒の種もみから1万粒の米粒が収穫できるのでしょうか?
種もみから稲穂ができるまで
米作りといえば、「田植え」を思い浮かべる方も多いと思いますが、田植えをするには「苗」をつくる必要があります。
地域にもよりますが、3月中旬頃に種もみを土に蒔き、苗づくりを行います。その後、4月中下旬頃に田植えをします。そのあと、田んぼの中で生長するにつれ、「分げつ」といって枝分かれするため、はじめは1本だった稲が7〜8本まで増えます。稲が実をつけ始める出穂の頃には、分げつが止まり、稲のからだをつくる栄養生長から実を充実させる生殖生長に移っていきます。実った穂が発育、肥大して「登熟」すると、収穫期を迎えます。
1本の穂に実るもみ数
穂の大きさや品種によってばらつきはありますが、1本の穂には、おおよそ80~100粒のもみが実ります。
1粒の種もみからできるもみ数
種籾1粒から7〜8本の分げつができるため、単純計算で1粒の種もみから560〜800粒のもみが実るということになります。
お茶碗1杯のお米の数
ちなみに、お茶碗1杯では重さ約65g、粒数では約3,250粒なので、種もみ6粒からお茶碗1杯分のお米が作られると考えるとすごいことです。
まとめ
日本お米ばなし vol.15 栽培編「一粒万倍って言うけど本当?」
こたえ:一粒800倍くらいだった!
おわりに
いちりゅう-まんばい 【一粒万倍】 [報恩経四「世間求利、莫先耕田者、種一万倍」]①一粒の種子もまけば万倍の粒となるの意で、少しのものもふえて多くの数になるたとえ。少しだとて粗末にはできぬの意にもなる。(広辞苑)
広辞苑によると、上記のような説明で元々仏教の言葉だったようですね。さすがに一粒で万倍になるほど都合良くはないものの、春のこの時期に種をまくことで、秋には何倍にもなって実りを得ることができるということに加えて日本人の「もったいない」の意識も受け継ぐ大切な言葉だったのですね。