自然栽培米・有機栽培米専門店 Natural Farming

2023/08/27 14:08

今回は種のお話。お米は1粒1粒が種ですよね。
一般的に流通している野菜のほとんどがF1品種といって、優れた性質を合わせ持つように人工的に交配してつくった品種が使われています。
それでは、お米の場合はどうなのでしょうか?

F1品種とは

家庭菜園をされている方や学校で習ったという方もいらっしゃるかと思います。F1品種は、雑種第一代(First Filial Generation)のことで、英語表記から「F1」と呼ばれています。
雑種第一代なので、品種①と品種②を掛け合わせて生まれた一代目の雑種ということです。

例えば、美味しいけど病気に弱くて生産量が伸びない品種①と、味はまずいけどとにかく病気に強くて作りやすい品種②があったとします。
この2つの品種を親にして掛け合わせ、それぞれの品種の良いところを併せ持ったハイブリッド品種(F1)をつくることで、優れた品種を生み出し利用しているのです。
一代目は「雑種強勢」が働き、優勢の形質しか現れないために両親の性質のいいとこ取りが可能になるわけです。

図:F1品種のイメージ

実際には私たちが望む性質を表す親品種の組み合わせを見つけ出す作業や望んだ特性をきちんと受け継いでいるかの確認など、品種をつくるのには約10年といった長い時間のかかる、とても根気のいる作業です。

固定種とは

固定種とは、「固定された形質が親から子へ受け継がれる種」のことを言います。固定種を栽培したあとに種を採って、その種を植えるとまた同じ形質の作物が収穫できるという種です。
こうして何代も種を採り、育て、その中からまたよいものの種を採り、という自然な栽培の過程でその種の特性が定着(固定)されていくため、その土地の気候風土に合った種になっていくとも言われます。
「伝統野菜に代表される地方古来の在来種」などに多くあります。

固定種は、F1品種に比べて個体ごとのばらつきが多少あり、市場出荷で大きさや形が規格で決められている場合の大量生産には不向きなことなどから、野菜などでは一般的に流通しているものがF1品種がほとんどになっています。

いつも食べているお米は?

お米の場合、基本的にはほとんどが「固定種」に該当します。そのため、例えばコシヒカリの種籾をとっておいて翌年播けば、またコシヒカリを作ることができます。

コシヒカリは「農林22号」と「農林1号」の交配で生まれた「越南17号(コシヒカリ)」ですが、イネは自家受粉性の植物なので、自分の花粉を受粉して種(コメ)を作ります。収穫したお米の中から良い種籾を選んで翌年播けば、同じコシヒカリが収穫できます。
自分の卵細胞に自分の精核が受精する、つまり遺伝子の設計図が同じ者同士が組み合わさるので、同じ形質を持った作物をつくり続けることができるのです。

イネはF1品種がないということ?

いいえ、イネにもF1品種が存在します。
三井化学アグロが開発したハイブリッドライス「みつひかり」があります。極多収で味が良いとされ、業務用米として流通しています。外食チェーン店にて知らぬうちに食べた方もたくさんいると思います。

これまでの固定種のイネは、自家採取が可能でしたが、F1品種では必ず種子を購入して米作りを行うようになるため、農家レベルでの持続的な米作が難しくなるという課題も指摘されています。

まとめ

日本お米ばなし vol.30 生物学編「お米にもF1品種と固定種がある?」
こたえ:ほとんど固定種だが、F1品種も作られている。

おわりに

イネはほとんどが固定種だからといって自由に増殖させてよいわけではありません。その辺りは種苗法という法律で定められているのですが、またの機会にご紹介できたらと思います。



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