2024/01/06 19:35
近年の家庭菜園、アウトドアや田舎暮らしなどのブームもあり、農業体験や実際に畑で野菜を作っている方もいることでしょう。
皆さんは「連作障害」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?同じ土で同じ作物を作り続けると連作障害といって作物がうまく作れなくなってしまう現象が起こることがあります。
そのため、その年によって畑で作る作物を変えたり、同じ作物を作る場合でも次の作の前に違う作物を育てておくなどの対策が取られます。
ところが、田んぼではずっとお米が作られています。これには、土と微生物が関係しています。今回は、連作障害をテーマに田んぼのお話をしたいと思います。
畑で起こる「連作障害」
畑の同じ場所で同じ作物を何作も繰り返し栽培していると、「連作障害」という現象が起こります。たいていの場合、その植物を好む病原菌の蔓延か、微量要素欠乏が原因となります。
作物によって、間を開けた方が良い年数に違いがあり、「連作障害」「(作物名)」などで検索すると調べることができます。
同じ作物を作り続けると生育が悪くなり収量が減少したり、特定の病害虫の被害が増加したりと栽培する側にとって困ったことになってしまいます。
この現象は「忌地・厭地(いやち)」とも呼ばれます。
田んぼでは連作障害が起こらない?
日本での稲作は弥生時代から何千年と続いてきました。
詳しく知りたい方は、ぜひ過去のコラムをご覧ください。
▼日本お米ばなし vol.9 歴史編「日本の米作りのはじまり」
何千年も前から、毎年同じ作物(稲)を続けて作っているのに、いわゆる「連作障害」が起こらない農地が「田んぼ」です。
ヒントは、田んぼに水を張ることにあるようです。
前項で、畑での連作障害の主な原因を2つ挙げました。
(1)微量要素欠乏
(2)その植物を好む病原菌の蔓延
水田では、春の代かきから夏まで農地に水が張られます。
これにより、河川や溜池などから田んぼに入れる水とともに、微量要素が供給されるため、微量要素欠乏が起こりにくくなります。
また、植物に悪さをする病原菌の多くは糸状菌というカビの仲間で、そのほとんどが酸素がないと生きていけない好気性菌になります。
田んぼに水が張られることで、水田の土壌は酸欠状態になり、そこに棲む糸状菌が生息できない環境となります。
おわりに
毎年同じ田んぼで稲を作り続けることができる「水田」は、私たちの主食であるお米を生産するのに適した、持続的な農業が可能なしくみだったのですね。
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