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2026/01/12 19:27

日本お米ばなし vol.72 「続・農家人口はやはり日本人の1%以下だった」

2024年8月、ひょんなことから
「農業従事者って、日本人の何%くらいなんだろう?」
という疑問を持ち、実際に数字を当たって計算してみました。

きっかけは、
「農業従事者は人口の3%しかいないからね」
という何気ない世間話でした。

ただ、その数字はどうやら少し古い。
そう思い、改めてざっくり計算した結果をコラムとしてまとめたのが前回です。

今回は、農業センサスの最新版(速報値)が公表されたため、
実際の数値がどこまで下がっているのかを、改めて確認してみます。

これまでの推計を振り返る

まず、前回おさらいです。

令和2年(2020年)の計算
日本の人口:約1億2,400万人
農業従事者数:136.3万人
136.3万人 ÷ 1億2,400万人 × 100 = 1.09%

次に、当時公表されていた令和6年(2024年)の推計値です。

令和6年(2024年・推計)
農業従事者数:111.4万人
111.4万人 ÷ 1億2,400万人 × 100 = 0.9%

この時点で、
「農業従事者は日本人の1%を下回っている可能性が高い」
という見立てを立てていました。

最新データで再計算する

そして今回、2025年農林業センサス第一報(速報)が公表されました。
令和7年(2025年)の農業従事者数は 102.1万人 です。

同じ条件で計算すると、
102.1万人 ÷ 1億2,400万人 × 100 = 0.82%
となります。

出典:2025年農林業センサス結果の概要(概数値)

数字が示していること

整理すると、
令和2年(2020年):1.09%
令和6年(2024年・推計):0.9%
令和7年(2025年・速報):0.82%

この5年間で、農業従事者は約34万人減少し、
割合としても 1.09% → 0.82% へと大きく低下しました。

つまり、最新の国勢データからも
「農業に従事している人は、日本人の100人に1人を明確に下回っている」
ことが確認されたと言えます。

農家人口の実態を知ることで、
これからの「食」と「農」に向き合うための視点を、
また一つ持てるのではないでしょうか。

「輸入すればいい」では済まない

農業人口の減少について、
・大規模法人が増えれば効率化できる
・小規模農家が減るのは仕方ない
・安いものが欲しければ輸入品を選べばいい
といった意見を、SNSなどで目にすることがあります。

もちろん、ゼロか百かで語れる話ではありません。
ただし、農業人口が減ることで生じるリスクは確実に存在します。
以下、整理してみます。

 1. 食料自給力の低下と非常時リスク
日本はすでに多くの食料を輸入に依存しています。
農業人口の減少は、「国内で食べ物を確保できる能力」の低下を意味します。

気候変動、国際紛争、輸送の混乱が起きたとき、
国内生産力が弱ければ、その脆弱さが一気に露呈します。

農家が減る
→ 農地の維持力が落ちる
→ 生産量の確保が難しくなる

この連鎖は、避けられません。

 2. 農地が維持できず、生産基盤が失われる
農業人口が減ると、耕作放棄地が増えます。
一度荒れた農地を再生するには、多くの費用と労力が必要です。

農地は“貯金”のように蓄積されるものではなく、
使われ続けてこそ維持できる資産です。

 3. 地域経済とコミュニティの弱体化
農業は単なる一次産業ではありません。
地域交通、直売所、農協、祭事、学校の存続など、多くの地域構造と結びついています。地域の消防団も農家が担っていることが多いです。

農家が減ることは、地域経済の縮小や、サービス提供が成り立たなくなることを意味します。

 4. 技術や知識の継承が断絶する
農業は高度な技能・経験産業です。
土づくり、病害虫の生態、天候の読み、品種の特性、地域の水利…
これらは「一代で体得できるものではない」ため、担い手が途切れると知識体系そのものが失われます。
結果として、日本の農産物の品質水準が低下するリスクも生じます。

 5. 食文化が失われ、選択肢が減る
生産者が減れば、多様な品種や地域食材が維持できません。
例えば、在来品種の米・野菜、小規模農家が支える独自の農法などは、担い手がいなくなれば自然に消えていきます。
食文化は「資源」でもあり、農家人口の減少はその損失にも直結します。

 6. 「農業を選べる社会」が失われる
農業人口が減るほど、新規就農のハードルは高くなります。
結果として、「農業を仕事として選択できる社会構造」そのものが細っていきます。
これは、食の安全保障を考えるうえで、長期的な戦略リスクです。

おわりに

農業人口の減少は、単に農家の数が減るという問題ではありません。
日本が“食べ続けられる国”であるかどうか、地域社会が持続できるかどうか、そして多様で豊かな食文化を未来に残せるかどうかに直結しています。

だからこそ、このテーマは統計の数字以上の重みを持ちます。
私たちが食べる理由、地域のあり方、未来の選択肢。
そのすべてに関わる問題だからです。

同時に、農業が持続可能な産業であり続けるためには、
消費者が農産物の適正な価格を支えられる社会環境が欠かせません。

米の価格を下げれば、さらに米農家は減るでしょう。
米ばかり増産すれば、他の農産物が不足するかもしれない。

だからこそ、日本人の所得向上を実現し、
農産物の価格上昇に耐えられる消費者を増やすことが、
今、急がれているのだと思います。



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