2026/02/22 16:15
日本お米ばなし vol.74
「新米と古米で研ぎ方や水加減は変えるべき?」
秋になると店頭に並び始める「新米」。
新米が出回るようになると、前年度産のお米は、収穫からある程度時間が経った、いわゆる「古米」と呼ばれるようになります。
この二つを前にしたとき、よく聞かれるのがこんな疑問です。
「新米と古米って、研ぎ方や水加減を変えたほうがいいんですか?」
「同じように炊いているのに、仕上がりが違う気がするのですが……」
結論から言えば、「はい、変えるべきです」。
ただし、大きく変える必要はありません。ほんの少しの意識の違いが、ごはんの仕上がりを大きく左右します。
今回は、新米と古米の違いを整理しながら、五ツ星お米マイスターの視点で「研ぎ方」と「水加減」の考え方をお伝えします。
新米と古米の違いとは?
まず前提として、新米と古米の違いを正しく理解しておきましょう。
新米とは
一般的に「その年に収穫され、年内に精米・販売されるお米」を指します。
特徴は以下の通りです。
・水分量が多い
・粒がやわらかい
・香りが立ちやすい
・粘りが出やすい
古米とは
前年以前に収穫されたお米を指します。
さらに1年以上経つと「古古米」と呼ばれます。
・水分量が少なくなる
・粒が締まり、硬くなる
・香りが穏やか
・粘りが出にくい
この「水分量の違い」こそが、研ぎ方や水加減を調整すべき最大の理由です。
新米の研ぎ方|「より、やさしく」が基本
新米は、とにかくデリケートです。
収穫したてで水分を多く含んでいるため、表面が傷つきやすく、研ぎすぎるとすぐに品質が落ちてしまいます。
新米でやってはいけないこと
・力を入れて研ぐ
・何度も水を替えて研ぐ
・「白さ」を求めすぎる
これらは、新米の良さである香りや甘みを削ぎ落としてしまいます。
新米の正しい研ぎ方
基本は、vol.73でお伝えした研ぎ方と同じです。
古米の研ぎ方|「落とすべきものを落とす」
一方、古米は新米に比べると粒がしっかりしています。
そのため、新米よりは多少しっかり扱っても問題ありません。
古米で意識したいポイント
・表面に残った酸化したぬか
・保管中についたにおい
これらは、古米特有のにおい(いわゆる「古米臭」)の原因になります。
古米の研ぎ方の考え方
・最初の水は必ずすぐ捨てる
・新米よりやや多めに混ぜる
・ただし、力は入れない
「新米より少し丁寧に洗う」くらいがちょうど良い塩梅です。
水加減はどう変えるべきか?
研ぎ方以上に差が出やすいのが、水加減です。
新米の水加減
新米は、すでにお米自体が多くの水分を含んでいます。
そのため、
・通常よりやや少なめの水加減
・炊飯器の目盛りより1〜2mm下
を目安にすると、ベタつきを防げます。
「新米なのに柔らかすぎる」「お粥っぽくなる」という場合、ほとんどが水の入れすぎです。
古米の水加減
古米は水分が抜けているため、しっかり吸水させる必要があります。
・通常よりやや多めの水
・もしくは浸水時間を長めに取る
古米が甘みや粘りがなく、食べにくくなってしまった場合は、1割だけもち米を入れて炊くという裏技もあります。
「同じ炊き方」でうまくいかない理由
「去年はおいしく炊けたのに、今年は同じやり方でも違う」
これは失敗ではありません。
お米は農産物であり、毎年状態が異なります。
新米と古米で違いが出るのは、むしろ自然なことです。
大切なのは、
・今のお米はどんな状態か
・水分は多いか、少ないか
を感じ取り、少しだけ調整することです。
おわりに
実りの季節を迎え、新米が食卓に並ぶと、その香りやツヤ、ほのかな甘さにあらためて日本のお米の豊かさを感じます。こうした繊細な違いを味わえるのも、日々ごはんを食べてきた私たちならではの感覚かもしれません。
一方で、水分量が落ち着いた古米にも、炊き込みご飯やチャーハンなど、その特性が生きる食べ方があります。新米が主役の日もあれば、古米が力を発揮する場面もあります。
どちらが良い・悪いではなく、それぞれに役割があるのです。
新米と古米の特徴を知り、炊き方を少しだけ調整すること。
それだけで、毎日のごはんはもっと自由に、もっと楽しくなります。
季節やお米の状態に寄り添いながら、今日の一膳を味わっていただけたら幸いです。
